diamondwaterの観劇日記

舞台、映画、展覧会、各種イベントに参加した記録、感想などをまとめています。

痛い話

これまで、ヅカファンにとっての「嘘だろオイ」がたくさんあったことは諸先輩方の昔語りを聞いたり、実際に自分で見聞きしてきたから知っている。でも昔語りは昔語りだし、自分で見聞きしたことについては色々思いながらも呑み込んできた。唯一ひっかかり続けているのは96期問題のみで、でも96期に関して本当の火種が爆発するのはもう少し先のことと思っているので、まあのんびりしていた。

だからまさかあんな方向からあんな豪速球で私の唯一の弱点が突かれるとは予想もしていなくて、だから防御もできなくて、私のヅカファン心は粉々に砕け散ってしまった。


豪速球というのは、「次期月1お披露目公演で主演が役替わりすること」。

この一文、公式発表前の私に読ませたら、「まずトップスター=主演男役であり、本公演丸ごと主演しなけりゃそれはトップスターではなく、主演が役替りする以上それは月1お披露目公演ではない」と言って歯牙にもかけず退けたと思うね。

ヅカファン全体にとってはどうだかしらないけど、私個人にとってのトップスターというのは、唯一絶対の、代わりなどない、落ちることのない永遠の星、言ってしまえば神様のような存在だった。

痛いと言いたきゃいくらでも言え。私のヅカオリジンであるオサさんには、本気で人生救われたんだよ。あのときオサさんがいなけりゃ私今頃どうなってたのよというぐらい縋っていたんだよ。公演観るたびに「パワーを分け与えてくれてありがとうありがとう」と感謝して、まるで神社仏閣に通ってるような気分だったよ!神社仏閣、各種教会のご本尊が日替わりで替わったりするか?? しないから、永遠普遍の存在だと信じられてるから、信仰の対象になるんだよね。そうですね私のトップスターへの気持ちというのは信仰に近かったのかもしれませんね認めます。だからこそ私がヅカ初心者に必ず言う「トップスターが背負う羽根は仏像の光背のようなものです」というフレーズを思いついたのかもしれませんね。羽根は伊達じゃない。

つまり私の唯一の弱点とは、「トップスターとは唯一絶対の存在だと信じていたこと」、だ。

だって、本気でオサさんは唯一絶対だったんだもん。男役らしい鋭さのなかに女性的な麗しさがまじっていて、もうまさに男装の麗人とはこのことか、と。ひれ伏したね。嗚呼、宝塚歌劇団が百年近く守ってきた大切なモノとはこのことか、と心から感服したね。オサさんに限らず、歴代トップスターさんにはこういう熱烈な気持ちを持つファンがいっぱいいたんでしょ。だから宝塚歌劇団は百年近く存続してきたんでしょ?

私が信じた過去のトップスター、現在のトップスターたちまで今回の発表で全否定された気持ちになったから、私のヅカファン心は脆くも砕け散ったのだと思う。

96期問題が引っ掛かっていたのも、この宝塚歌劇団の宝であるトップスターが、かつて誰かを退学に追い込むようなイジメに加担していたことがある、なんて事態を到底許せなかったから。
イジメってどんな集団にも起こるものと私は思っていて、でもまともな集団であれば必ずいじめられている人を庇う存在が出てくるし、傍観者たちもその庇う人たちを無言で包み込むようにしていじめる人たちに対するクッションになってくれるもの。それができない集団というのは、集団として質が低すぎる。集団構成員一人一人の性根を問われても仕方がない。
だから96期以外にもイジメはあったと思うけど、いじめられた被害者をあそこまで追い詰めた96期は集団として最低レベルだし、それを反省・謝罪する言葉も発表されていない以上許せないし、喧嘩両成敗で主犯たちも一緒に退学させたっていうんなら期としてはまだしも受け入れられたかもしれないけど、主犯たちが混じっている以上応援できない。ましてや男役路線に乗せてトップにするなんて絶対ありえないと思っている。から、96期問題には引っ掛かっていた。でももうトップスターが唯一絶対の存在でなくなるのなら、96期みたいな質の低い集団の構成員をトップにすえてもいいんじゃない?という気分ですよ、はは!

もちろんかつては、ここまでトップスターは固定されていなかったというのも知ってるし、その後もトップと二番手の役替りが2度行われたことがあるという記述も読んだ。でもそれ何十年前の話よ。あれから降り積もった時、幾星霜、哉。その間に生まれたたくさんの人たちのたくさんの感情。悲喜こもごも。それを全てなかったことにして「過去にもあったんだからたいしたことじゃないよ」なんて言えません、少なくとも私は。状況が違う、時代が違う、我々は今を生きている!!(あ、「カサブランカ」思い出した。)むしろ「過去こういう大変なことがあって、そのときこうやって乗り越えて今でも宝塚の舞台を観ているよ」。そう言ってほしい。今回そういった発言には本当に心癒された。ありがとうございます。


今回の発表以前に、唯一絶対の存在としてトップスターに就任した柚希礼音、音月桂、蘭寿とむは、何とか最後まで見送りたい。特に蘭寿とむ。でもその先は…。ヅカの名台詞を引用するなら、「終わりだ。僕は去る」という気持ち。「さらば、古きくびきよ、二度と戻らぬ私の部屋よ」という気持ち。だって、私の信じた存在は息の根をとめられて死んじゃうんだから。星は落ちて神様は死んじゃうんだから。もうヅカから神様はいなくなっちゃうんだから。


結論をいうと、信じすぎた私が悪い。
だからヅカを否定するのでなく、ヅカから離れるのが得策なのだと思う。離れるときは刻一刻と近づいている。もしまた戻ってくることができたら、「過去こういう辛いことがあって、そのときこうやって乗り越えて今でも宝塚の舞台を観ているよ」と、そう言える側になりたい。


最後に一言。月次期トップコンビ、内定おめでとうございます。
新しい価値観のもと、新しい世界を築いていってください。