diamondwaterの観劇日記

舞台、映画、展覧会、各種イベントに参加した記録、感想などをまとめています。

『マイ・ブルーベリー・ナイツ』

ウォン・カーワイ監督の、失恋した女性が旅に出る物語。これは観るしかない。いっそ私のための映画だろ、ぐらいな勢いで観に行きました。

主演のノラ・ジョーンズが大好きな私は、実は映画公開前にサントラを既に購入&ヘビロテ済み。そこで佳作な予感がしていたけれど、本気で佳作だった…(泣)!

観ていて、本気でグッときました。それも何故かノラの失恋話にではなく、アル中男性の身の上話シーンで。駄目な自分を変えたくて、昼間は真面目に働きながらいろいろ努力もして、でもどうしても変えられなくて酒に走ることを止められず、そんな自分に努力したぶん絶望も深く、絶望と寂しさのなかで出ていってしまった妻にすがりつくのを止められなくて、すがりつくぶん妻は益々離れて……。深夜、閉店間際の安酒場で宙を見ながら無言で下唇を震わす中年男性。何をか言わんや。

彼の妻役のレイチェル・ワイズがまたえらい綺麗で、精神的に不安定なゆえの魅力を見事に表現してて感心しまひた。そりゃあ、夫もすがりつくわな。ダークブラウンの髪にダークブランの瞳で、ちょっとあの全体的な雰囲気、「真似したい…」とか思っちまったし。いかんせん、私は胸がないのでファッション的には真似できないが。。。

さて、本筋であるノラの失恋エピソードについて。これはシチュエーションがかなり私に近く、しみじみと共感しました。2カ月前とかに観てたら確実に劇場で号泣してたと思う。

でも今の私には、旅に出た後のノラのほうが心に沁みた。
ノラったら失恋の傷を癒すためにひたすら働くんです。その気持ち、分かりすぎて怖いわ…。そして同年代の女の子(ナタリー・ポートマン)に出遭って、真逆の世界観に触れて。否定し合うのではなく認め合い、失恋して300日経ってようやく家に戻る気になる、という。

そして、この映画の最高にファンタジックで最高にメルヘンチックで最高の美点は、NYに戻ってきたノラをジュード・ロウが待っているってことですよ!! これまでジュード・ロウは好きでも嫌いでもなく興味もなかったけど「なんというイイ感じに生枯れた中年男かっ」と目を開かされました。現実では自分とこのナニーに手を出すエロ親父だとしても、『マイ・ブルーベリー・ナイツ』のジュード・ロウは最高に魅力的だった!! 失恋した直後から失恋話を聞いてくれて、そのうえ1年近く半ば音信不通で旅に出ていた女性を何気なく待ち続けられる男性なんて世の中には居るはずないが「いいじゃん、映画なんだからっ!」と叫びたくなるハッピーなエンディングでした。

ポスターになってるキスシーンがいかに素晴らしいシーンかは、ぜひ本編を観て確かめて欲しいです。

それにしても、『アメリ』以来の心ときめくラブ映画だったな~。今、この時期に観てよかった。私もがんばろーっと。まだ私、失恋して140日ぐらいだし。まあノラみたいに後140日後に新しい恋が始まってるとも思えんが。。。夢見るぐらいはしておこう。